三島落語会第43回で収録された「私小説落語~スローバラード編」をまるっと公開!
キリっとした江戸弁を使う「江戸落語」に「本寸法落語」、関西弁を使う「上方落語」など、落語にもいろいろなタイプがあります。江戸時代を中心に古くから伝わる「古典落語」に対し、今も新しく作り続けられているのが「新作落語」。では「私小説落語」とはなんでしょうか。
「私小説落語」とは、落語家・笑福亭羽光が贈る実話をもとにした新作落語です。令和2年「NHK新人落語大賞」を受賞した「ペラペラ王国」も羽光の創作による新作落語ですが、こちらはファンタジー。私小説落語シリーズはよりプライベートな実体験を物語に落とし込んだものです。
やや奇妙な家庭で育った羽光。本人的にはあまり恵まれない環境、それでも思い返してみると甘酸っぱく、二度と戻らない青春時代をベースにしたものが多い作品群です。「私小説落語~スローバラード編」はなかでも暗く、自分の思い出と照らし合わせてホロリとくるかたも多い作品です。
令和3年10月22日、みしま未来研究所で開催された三島落語会第43回にて収録された「私小説落語~スローバラード編」を、YouTube三島熱海落語会チャンネルで期間限定公開しています。ぜひ、秋の夜長のお供に、笑福亭羽光の私小説落語を体験してください。
笑福亭羽光はなぜ私小説落語をつくるのか?
どんな創作も個人の体験とまったく関係なく存在することは難しく、きっとなんらかの形で表現されているはず。でも、羽光の作品には特にプライベートなできごとが色濃く反映されています。なぜでしょう。
思春期ならではの生きづらさと「なぜ自分はうまくいかないだろう」という思い、そして自由に伸び伸びとさせてくれない厳しい家庭環境などの鬱積から、別の世界を妄想し自分の人生も物語だったら?と考えるメタ視点が育ったのかもしれません。羽光自身はインタビューで
高校時代は掃除用具入れに押し込まれて授業を受けていましたし、イケてない青春時代を過ごしました。でも、私小説落語をつくるようになって自分の過去を振り返り、「輝いていないからこそ、ふつうの人のための落語ができる」と気づくことができました。
GetNaviWeb「今、人生がつまらない人へ。掃除用具入れで授業を受けていた落語家・笑福亭羽光の不安との付き合い方」
とコメントしています。
YouTubeで「ペラペラ王国」も公開中
NHK新人落語大賞受賞直前、三島落語会第38回にて 収録された「ペラペラ王国」も同じチャンネルで公開しています。公開期限を延長していますので、状況の階層がハイスピードで展開し、メタ構造が炸裂するこちらの新作落語もぜひお楽しみください。
次回の三島落語会は令和3年11月19日(金)。ご予約はこちらです。